建築家・陶芸家の奈良祐希が、淡路島〈禅坊 靖寧〉で新作個展を開催。
奈良は建築家であるとともに、350年続く大樋焼十一代大樋長左衛門を父にもつ陶芸家でもある。代々継承された名窯「大樋焼(おおひやき)」の土と磁土を混ぜ、3DCADやプログラミングなどの最先端テクノロジーと掛け合わせる陶芸作品で知られている。
今回の展示にあたり、「坂さんの建築とどう対話するかがまずテーマにありました」と奈良。
「これまで自分の作品を展示するとき、展示会場となる建築や自然の環境と、自身の作品がどう対話しているかを意識してきました。今回の〈禅坊 靖寧〉は建築という人工物を自然の中に置き、対比させることで敢えて自然を際立たせるという設計コンセプトがあります。実際に入ると、周囲は見渡す限りの大自然。自分が建築の中にいることを忘れてしまうような空間です。そこにインスパイアされたのが新作《Bone Flower_Nest》です。
初めて淡路島を訪れたとき、雄大な自然の中で巣作りをしている野鳥を見つけました。幾重にも枝が交差してできた頑丈で計算された構造体の中に、卵や子ども、または生きる上で大切なものを入れ込む、その現象の旅路に出会ったときにアイデアを思いついたのです。代表作《Bone Flower》を入れ子構造にすることで、作品を有機的にさせ、そこから生まれる作品自体の『揺らぎ』が大自然に対峙できると思いました」