ミラノデザインウィーク2022をレポート、素材の可能性を探る注目の日本人デザイナーは?
ひとつの顔料が生み出す、多様な表情
デザインスタジオのwe+は、アルミニウム製品メーカーの東洋アルミニウムが開発した顔料「クロマシャイン」を用いたインスタレーションを発表。光の干渉で発色し、見る角度で色が変化する特徴を渦状のオブジェで表現した。ひとつの顔料が無数の色をもつことに、we+は多様性のある豊かな世界を見る。色が常に変化するオブジェを、来場者はさまざまな角度から眺め続けた。
祈りの空間を埋め尽くす、新素材のオブジェクト
ミラノ市中心部にある教会で詩的なインスタレーションを発表したのが、デザインファームのタクトプロジェクト。教会の床一面を白い花のようなオブジェで埋めた。これは熱によって硬化する糸を編んだニット生地に、部分的に熱を加えることで構造的な硬さを与えたもの。彼らが日常的に行う素材やフォルムの研究の延長にありながら、祈りの空間、街の日常、来場者の心に響く内容であった。
華やかさを纏う、伝統織物の革新性
クリエイティブユニットのアトマをアートディレクターに迎え、ファブリックメーカーの川島織物セルコンは織物8種を発表。伝統技術と現代の技術を掛け合わせ、多層構造の光彩フィルムを織り込んだ「耀彩(ようさい)織物」は、螺鈿細工のように見る角度や光の当たり方で表情が変化する。伝統工芸にも通じる華やかな表情を、現代のハイテクを駆使した工芸で表現した。