【瀬戸内国際芸術祭2022】小豆島|オリーブの島に新作が登場しています!
青木野枝《空の玉/寒霞渓》
小豆島のほぼ中央にある寒霞渓は、島でもっとも標高の高い星ヶ城山と四方指の間にある渓谷。約1300万年前の火山活動によって生まれた独特の景観で国立公園にも指定されている。
青木野枝はその奇景を見晴らす展望台に直径約4メートルの見晴台を作った。鉄による輪をいくつも重ねた球体は泡のようにも感じられる。鉄は経年変化により少しずつ錆色に変わり、周囲の景色にとけ込む。鉄の輪が落とす影が木漏れ日のようにも見える展望台だ。
ワン・ウェンチー(王文志)《ゼロ》
棚田の中、小山を背景に現れる竹の巨大な建造物。毎回、アーティストが島の人々と一緒に現地制作している。今回の作品は直径約15メートル、使用した竹はおよそ4000本。《ゼロ》というタイトルは過度な破壊のない、原始のころの地球に戻りたいという気持ちが込められている。中に入って竹の床でくつろぎながら、千枚田を渡るさわやかな風を楽しもう。
三宅之功《はじまりの刻》
「日本の夕陽百選」に選ばれた夕陽の名所に立つ大きな卵。割れ目からは次第に草が生えてくる。草も、光も常に移ろっていくから一度見た卵は二度と見ることはできないだろう。作者はパブリックアートのコンペの草分けである『UBEビエンナーレ』第28回(2019年)で大賞宇部市賞を受賞した。作者は永遠に姿を変えない彫刻のイメージを覆す、植物を組み込んだ「有生彫刻」という造語による彫刻を制作している。この作品も小豆島の夕陽と海の眺めを少しずつ変えていくことだろう。
小豆島東部の福田地区にある〈福武ハウス〉では夏・秋会期に『アジア・アート・プラットフォーム2022協同展「Communal Sprits/共に在る力」』を開催している。集落の中にある「サイトA」から「サイトE」までの5つの空き家を会場に、5組のアーティストやアートスクールの学生たちが作品やプロジェクトを見せる。