“100年に一度”しか飲めない酒を 100年前の酵母で現代風な酒造り【秋田発】
秋田・横手市の「阿櫻酒造」。150年以上続く伝統ある酒蔵。
この酒蔵で働く杜氏(とうじ)をまとめるのが、照井俊男さん(76)。山内杜氏組合の100周年を記念した酒造りを提案した。
照井さんは、旧山内村(現横手市)出身で、16歳の時にこの世界に入った。半世紀以上にわたって、第一線で活躍する山内杜氏だ。
阿櫻酒造 杜氏・照井俊男さん:
(組合創設から)ちょうど100年。100年に一度しか飲めない酒をできないかと、(醸造)試験場の場長に相談したところ、今、使われていない酵母が保存してあったということで、現代風な酒を造ってみようと
照井さんと組合に賛同した10の酒蔵が、大正時代の醸造日誌をもとに、100年前の酵母を使った酒造りに挑戦することを決めた。
コンセプトは「知新温故」。県内の酒は、発酵の際に泡が出ないタイプの酒が主流だが、100年前の酵母を使った酒は、泡が大量に立つのが特徴だ。
阿櫻酒造 杜氏・照井俊男さん:
酒蔵に入ったのは59年前。当時は全部、泡が出てきていた。昔のことを思い出してびっくりした。朝早く来たら、泡がいっぱいになっていた。若い杜氏もびっくりして写真を送ってきた
酒は2月中旬についに完成した。阿櫻酒造が造ったのは純米吟醸酒。フルーティーな味わいに仕上がったという。
阿櫻酒造 杜氏・照井俊男さん:
全国でも100年前の酵母を使った酒は初めて。全国のみなさんで楽しんでもらいたいし、秋田の酒はこうなんだと知ってもらうことが願い
今しか飲めない山内杜氏の歴史が造った酒を、一度味わってみてはいかがだろうか。
10の蔵元が造る記念酒は2万本限定で、秋田県内では4月22日に、県外では5月1日に販売が始まる。
(秋田テレビ)