【ABC特集】経営の経験ゼロ・・・元劇場パートの”主婦”が支配人に コロナ禍の影響もあり休館の映画館を復活へ 兵庫・豊岡劇場
これを機に旅行に行く人、外食を楽しむ人。休日、街を行き交う人々の光景が制限緩和を表しているように思えます。
兵庫県豊岡市にある映画館「豊岡劇場」、通称“豊劇”もコロナの制限に苦しんできた場所のひとつです。コロナ禍で観客が減り、去年8月休館を余儀なくされました。
なんとか復活できないか。復活に奮闘する女性支配人に密着しました。
豊岡劇場は1927年に芝居小屋として作られ、1950年代に映画館に代わりました。スクリーンは大小2つで、座席数はあわせて約180席。兵庫県北部で唯一残っていた映画館でした。
この”豊劇”を無くしてはいけないと立ち上がった人がいます。劇場のパート従業員だった田中亜衣子さんです。
(豊岡劇場支配人・田中亜衣子さん)
「子どもが泣いたんです。ポロって涙流して『無くなるの』って言って。『あそこで遊べないの』『ジュース飲めないの』って泣いて」
この田中さんを手伝っているのが、兵庫県立大学4年生(当時)の橋本泰樹さんです。神戸から豊岡に引っ越し、映画館の再開に向けて活動しながら、ここでの経験を卒業論文にまとめます。
(橋本泰樹さん)
「あそこポスターをはるところが三段あるんですけど、そのはるところを三段とも全部埋まる日がいつかくると願って頑張りたいなと思います」
2022年10月、田中さんは映画館を運営するために新たな組織を立ち上げました。一般社団法人「豊岡コミュニティシネマ」です。「みんなで作る、みんなの豊劇」を掲げ、多くの人々に支えられる劇場を目指しました。
劇場再開の目標は半年後の2023年春。その資金として300万円の支援を呼びかけました。しかし…
(豊岡劇場支配人・田中亜衣子さん)
「甘っちょろいんだと思います。経営もしたこともないし、映画業界もまだ1年ですし」
支援金の呼びかけから2か月で集まったのは、目標の半分にも満たない120万円ほど。
(豊岡劇場支配人・田中亜衣子さん)
「自分の力不足だなって本当に思います。休館の期間が長くなれば長くなるほど、人が離れていく。焦りますね。早く上映したい。ほんとに早く再開したい。」
Q目標金額300万円。集まらなかったらどうされるんですか?
「延期ですね。延期です。再開延期」
2022年の年末から年始にかけ、劇場再開のテストとなるプレオープンを行いました。劇場の存在を忘れ去られないためでもあります。しかし、10日間のプレオープンで集まった観客は目標の半分弱。劇場を軌道に乗せるための目安、1日49人に達した日は2日のみで、上映再開に必要な資金300万円もこの時点ではまだ半分ほどしか集まっていませんでした。