竜王戦おやつに「富士山」を…藤井竜王「森林限界」発言からイメージ、高校生スイーツ商品化へ
SDGs(持続可能な開発目標)に取り組む同会議所は、エコ肥料「マスマス元肥(げんぴ) 」を考案し、この肥料で育てた農作物を使って食品を作るなどの活動をしてきた。今回、対局時のおやつを公募すると知り、新スイーツの開発を始めた。
注目したのは、藤井竜王の今年2月のユニークな発言。最年少でタイトル五冠を達成した藤井竜王が、自身の現在地は富士山の何合目かと記者会見で問われ、「森林限界(樹木が密生する上限)の手前」と答えた。
その発言から、スイーツのイメージを富士山とし、商品名は新たな盤上での挑戦に期待して「森林限界を越えて」と決めた。スイーツの下層は樹木の緑色、中層は森林限界より上部に広がる岩場の茶色、上層は赤富士風の赤色とした。
こうしたイメージを、1902年創業の老舗和菓子店「華月」(同市朝日町)が透明の容器に入った3層の和菓子に仕上げた。下層は抹茶ようかん、中層は落花生ペースト、上層はイチゴを使用。落花生、イチゴは富士宮産で、マスマス元肥で育てた落花生を使う。
「対局の火照りを上層のイチゴでさっぱりと癒やし、中下層の甘みでほっとしてもらえるはず」と製造責任者久保田とも子さん(74)は語る。
商品開発で2年生リーダーを務めた勝亦海吏さん(県立富岳館高2年)は「チャレンジ自体が得がたい思い出」と話した。
1個税込み500円。9日の投票開始と同じ時期に、同店で販売する予定。
今回の対局を盛り上げようと、富士宮市などが「竜王戦おやつ選びコンテスト」を開催している。
棋士に提供する「おやつリスト」に載せるスイーツは、市内の菓子店を対象に7月に募集。市は2日、「森林限界を越えて」を含む計38件の応募があったと発表した。
今後は書類審査、インターネット投票などを経て、和菓子3品、洋菓子4品程度に絞り込む。フルーツなどの定番品を加えてリストを完成させる。
藤井竜王と挑戦者は2日間の対局中、最大4回のおやつタイムでリストからスイーツを選ぶという。
藤井竜王が食べたものは、これまでも大きな話題を呼んできた。コンテストは「お菓子の里として市を売り出すチャンス」(須藤秀忠市長)との狙いがある。