『自民で「事実上の移民」と反発も 外国人労働者拡大』へのみんなの感想まとめ
関連・政府「特定技能2号」拡大検討 在留期限なし
松野博一官房長官は26日の記者会見で「国民の人口に比して一定の規模の外国人・家族を、期限を設けずに受け入れて国家を維持する政策を取る考えはない」と明言した。「いわゆる移民政策は取らない」との政府方針を変更したわけではないと強調した形だ。
「特定技能」は安倍晋三政権の平成30年に成立した改正出入国管理法に基づく制度。安倍氏は当初、保守層の反発を考慮し慎重だったが、介護や建設、宿泊業などの業界団体の窮状を熟知する菅義偉官房長官(当時)の強い説得もあり、受け入れの方向へかじを切った。安倍氏は「優秀な外国人材にもっと日本で活躍してもらうために必要だ」と説明し、「移民政策」との批判をかわしてきた。
今回は14業種のうち12業種を見直す。菅政権下の6月に「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」を改定し、「特定技能2号の対象分野追加および業務区分の整理に関わる検討」を加えたためだ。岸田文雄首相は、安倍、菅両政権が進めた政策の是非の判断を迫られることになる。
ただ、自民党には対象拡大に否定的な意見も根強い。来夏の参院選を控え、支援を受ける業界団体への配慮から前向きな議員もいるが、9月の党総裁選で高市早苗政調会長を支持した若手参院議員は「絶対に認めない。党部会などで制度が抱える問題点を徹底的にあぶり出す」と語る。
別の問題もある。首相は26日の「新しい資本主義実現会議」で、経済界に「3%超の賃上げ」実現を強く求めた。一般的に低賃金と指摘される外国人労働者の受け入れ拡大は賃金上昇にマイナスの影響を与える可能性があり、首相の経済政策と矛盾が生じかねない。
首相側近は「首相は拡大に前のめりではない。全面拡大はないだろう」と話すが、永住に道を開くことにもなり得る重大な政策転換に際し、十分な国会論議と政府の丁寧で透明性のある説明が求められる。(千田恒弥)