Chill CARS|現代的、かつほどよくクラシックな軽バン。
気がつけば、デビューしてから35年近く前のクルマということになるが、それほど古くは見えない。ベースのデザインが普遍的な美しさを持つからこそ、だろう。
角を落とした適度にスクエアな車体、同寸・同形状ながらも開閉方向の違いに合わせ機能を変えているドアノブ、極端に短いリアオーバーハングなど、注目したいディテールに溢れている。
インテリアもしかり。樹脂で覆われたダッシュボードやステアリングホイールは、現代のクルマと大きな違いが見受けられない。しかし、単眼の速度計が目立つメーターパネルや、棚のように上面がフラットなダッシュボードは過度な意匠を持たないのが好ましい。
最近では、軽商用バンを仕事用だけでなくアウトドアや趣味など日常生活に用いるユーザーも増えている。デザインが優れている《アクティバン》なら、どんなシーンにも映えるはず。このクルマは古く見えない、と冒頭で書いたものの、最新モデルと並ぶと、丸いヘッドライトなどが、現代車とは異なる佇まいや個性を生んでいるのは間違いない。
1967年から〈ホンダ〉が採用し続けた、リアタイヤ寄りにエンジンを搭載する独自設計がもたらす高い操縦性、スポーツカーのように淀みなく回るエンジンなど、普段使いで乗ってみたい、と思わせるに十分な魅力を持つ一台だ。