大阪・天王寺夜間中学、8年度末まで 統廃合計画変更、特例校分校に
大阪市内には現在、4校の夜間中学がある。天王寺は昭和44年、文の里は48年に開設され、今年5月1日現在の生徒数はそれぞれ41人と24人。両校とも駅の近くに立地し、交通の便が良い。
市教委の統廃合計画は令和6年3月に天王寺、文の里の2校を廃止し、同年4月に新設する不登校特例校「心和(しんわ)中学校」(浪速区)に夜間中学を併設するもので、実現すれば市内の夜間中学は3校に減る。
3年11月に計画が明らかになると、両校の生徒たちは「高齢で足が悪い生徒や家族を介護しながら通っている生徒、仕事を終えてから急いで登校する生徒もおり、場所が変わると通えなくなる人が出る。大切な学びの場を奪わないでほしい」などと強く反発。卒業生や近畿夜間中学校生徒会連合会などとともに、署名活動やシンポジウムなどで存続を訴えてきた。
計画に対して市議会は、新設校に通うのが難しい生徒らが卒業するまでの経過措置を要請。これを受けて市教委は、計画が明らかになった3年度時点の在校生が在籍できる原則上限期間(6年)の8年度末まで現在地に通えるように計画を見直すことにした。
ただ、両校での実施は教員確保の面などから困難として、多くの鉄道路線が乗り入れる大規模ターミナル駅の天王寺駅近くに立地し、生徒数も文の里より多い天王寺の校舎で授業を続けることにした。文の里の生徒も希望すれば天王寺に通える。4年度以降に入学した両校の生徒については「計画の説明を受けた上で入学している」として、来年度から特例校に移る。
市教委は「天王寺」の名称を残す意向で、特例校の分校と位置付けることから「心和中学校天王寺分校」などの案が検討される。
■夜間中学 戦後の混乱期に経済的理由などで昼間に働かざるを得ない子供たちのために設けられたのが始まり。現在は戦争や貧困、不登校などで義務教育を十分に受けられなかった人や母国で義務教育を修了していない外国籍の人らが通う。文部科学省は各都道府県、政令市に1校以上の開設を促しており、各地で誕生が相次ぐ。今年4月時点で17都道府県に44校ある。