『日本、韓国の加盟に反対するか…「CPTPP」をめぐる4つの疑問(1)』への皆さんの反応まとめ
壮大すぎる名前と同じくらい奇異な点がある。協定の母胎である環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を主導した米国は脱退後、復帰に否定的な態度を維持しているのに、TPPの「仮想敵国」とされていた中国が同協定の加盟に乗り出したのだ。もう3カ月前のことだ。
これに加え、韓国も今月13日、加盟申請手続きを開始すると公式宣言するに至った。協定という塀の内側では、韓国に冷ややかな態度を取っている日本が加盟国として目を光らせている。中国も韓国も、協定に加盟するためには、日本をはじめとする加盟国11カ国すべての賛成というハードルを越えなければならない。韓日間の冷え込んだ関係を考えると、加盟を進める韓国政府としてはかなり意識せざるを得ない意思決定方式だ。
米国は国内政治日程のため復帰延期したのか
韓国国内で政府当局や財界を中心に、CPTPP賛成のムードが早くから形成されていたが、賛成派の中でも隔たりはあった。米国の協定復帰後に加盟を進めた方が良いという意見と、それと関係なく進めるべきという意見に分かれていたのだ。米中対立、韓米間の特殊関係という脈絡の中で生じた隔たりだったが、双方に共通していたのは米国の協定復帰を当然のことのようにとらえていたという点だ。
今もこのような見方が残っている。米国は来年の中間選挙という政治日程を控えているためしばらく延ばしただけで、協定に加盟する方向に動くと可能性が高いという意見だ。米国内の政治日程は、CPTPPのような国際自由貿易協定(FTA)交渉を行うのには不利な状況だ。開放の幅が広がることで、損害を被る利害関係者が生じるためだ。米国が多忙な政治日程のため意思決定ができないだけで、依然として協定への復帰に未練を持っているという解釈とつながっている。
貿易協会国際貿易通商研究院のパク・チョニル院長はこうした「米国未練論」に懐疑的だ。米国はCPTPPにはすでに関心を持っておらず、それよりはインド太平洋諸国を中心に中国のヘゲモニーを抑える枠組みを作る方向に進んでいるというのがパク院長の分析だ。オーカス(AUKUS、米国、英国、オーストラリアの3カ国安全保障枠組み)の発足とファイブ・アイズ(米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国機密情報共有枠組み)の拡大論議がそれに当たる。
それに米国はCPTPPのような多国間貿易協定に頼らなくても、2国間交渉で自国の利益を実現する力を持っている。韓米自由貿易協定を改定し、北米自由貿易協定(NAFTA)を米国-メキシコ-カナダ協定(USMCA)に生まれ変わらせたのは端的な例だ。
米国としては、グローバル・バリューチェーンや半導体、バッテリーをはじめとする未来産業で中国を効率的に牽制する協力体制を強化することにより関心を持っているとみられているのもそのためだ。ならば、CPTPPに力を入れる理由や余裕はない。キャサリン・タイ米通商代表部(USTR)代表が先月韓国訪問に先立ち、NHKとのインタビューで「(CPTPPは)5年以上前に論議されたことだ」とし、「それよりも、いま直面している課題に焦点を当てなければならない」と発言したのも、このような米国の姿勢を反映している。(2に続く)
キム・ヨンベ先任記者(お問い合わせ [email protected])