山陰地方で体験型アートイベント『ECHO あしたの畑-丹後・城崎』が始まる。
職人や作家、料理人や建築家らによって設立された集落構想「あしたの畑」。畑から始まる「食」「器」「祈りの場」「住まい」「交流の場」をつくることで、美しい景色を生み出すことを目指す活動だ。『ECHO』は、芸術本来の役割であろう心を耕すことをテーマとするイベント。地域住民と国内外から丹後・城崎を訪れる人々の心に響くと同時に活動を担う人材の成長の場となること、そして上質な芸術と美しい自然環境が未来を担う子どもの感性を養う場となることを期待して展開される。
軸となるのは、3つのテーマから立ち上げた3つの特別展。
「特別展Ⅰ」は、2000年以上の歴史を持つ竹野神社に制作した祈りの場と祭祀の屋台、祠。芸術の根源となる『祈り』をテーマにしたものだ。
「特別展Ⅱ」は、工芸作家が建材にチャレンジしながら改修した〈間人スタジオ〉にて、日本の風土に根ざした工芸とアートの『これからの暮らし』を総合芸術的にアプローチ。美術家・田中義久や〈かみ添〉を主宰する唐紙師・嘉戸浩、陶芸家・新里明士らが参加する。
そして「特別展Ⅲ」の会場となるのは、創業から300年の歴史を重ねてきた〈城崎温泉三木屋〉。文人や芸術家に愛されたこの宿では、アーティスト・須田悦弘を迎え、建築と現代アートによる歴史と文化が紡ぐ『土地のつながり』が紹介される。ここでの鑑賞は宿泊者限定だが、7月27日と8月10日の11時30分から15時の間に限り、一般鑑賞も受け付けるとのことだ(要事前予約)。
また期間中、〈竹野神社〉では土地の風土・歴史・産業を通してこれからの暮らしを提案する3つの試みが開催される。会場構成を西沢立衛建築事務所が監修、テキスタイル・コーディネートを安東陽子が手がける「食の祭」には、明治26年創業の飯尾醸造や自家製無農薬野菜を使ったカレーで人気のTHE SPICE、京都のテロワールが味わえると評判のcenci(チェンチ)などが出店。〈市場〉ではミルク工房そらやてんとうむしばたけの地元食材、開花堂の茶筒、中川木工芸や工芸作家による作品に加え、安東陽子の作品も展示される。また〈絵馬殿〉はライブラリーに変身し、ブックディレクター、幅允孝が厳選した土地の歴史と文化、魅力を深く知る本が並ぶ。