都市の「時間を引き延ばす試み」。トモトシの個展「絶望的遅延計画」がTAV GALLERYで開催中
トモトシは1983年山口県生まれ。都市空間や公共のルールを行動によって変化させる「都市との関わり方」を開発するアーティストだ。
2020年には西荻窪に、トモトシを中心とした任意団体による私設美術館「TOMO都市美術館」をオープン。わずか7ヶ月の間に23本のワークショップを開催するなど、精力的に活動を行い、多くの参加者を誘い出すことと同時に、表現者たちの重要な交流場所としても機能している。
トモトシの作品は「1時間透明になって飲む」や、「渋谷区でオリンピックエンブレムを探す」「渋谷区渋谷の全コンビニを辿る」など、都市の微細な変化と不完全さや無意味さをめぐるもの。これらはトモトシが日々、街に繰り出すことによって生まれてきた。
都市とロマンスの関係性を可視化した個展「Romantic Bomb」から1年。本展に寄せてトモトシは次のようにコメントを寄せている。
東京で何かアクションを起こすと、一瞬だけその場が変容するように見えても、すぐにいつもの日常が戻ってくる。革命を起こさせない国で暮らし、何かを変えることを諦めた(絶望した)人間の最善の策は、いまの現状を維持することしかないかもしれない。今展では、東京の中でも特にジェントリフィケーション(=革命因子の排除?)が激化しているように感じられる渋谷を舞台に、複数の都市的な場面で「時間を引き延ばす試み」を提案する。(プレスリリースより)
世界的に既存の権威や秩序の崩壊、数多くのリノベーションが進む加速的な時代において、鈍足性を武器に、日本という国の都市空間の特異性、時間軸、構造を浮き彫りにするトモトシの新作を目撃してほしい。