カラー写真のパイオニア。「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」展(渋谷ヒカリエホール)レポート

本展を企画した佐藤は本展のコンセプトを「今回はカラースライドを中心に、もう一度ソール・ライターの色という視点で展覧会を組み直そうとした」と説明。未整理の作品はカラースライドだけでも数万点にのぼる “発展途上” の作家・ライターの作品を「色」の観点で再考したという。
ライターがカラー写真を始めたとき、まだ世間ではモノクロ写真が主流。モノクロは自分で現像ができるということで、ライターは小さなアパートに暗室を作り、モノクロ写真を自分で大量に現像したのだという。1章「ニューヨーク 1950-60年代」では、1950~60年代の黄金期のニューヨークを写し撮った未公開スナップ写真を展示。
なかでも本展でアートファン必見と言えるのが、後のアートの巨匠たちのポートレイトのコーナーだ。アンディ・ウォーホル、ダイアン・アーバス、ユージン・スミス、セロニアス・モンク、マース・カニングハム、ジョン・ケージ、ロバート・ラウシェンバーグらの若き日の貴重な姿を見ることができる。「アートがアメリカの中心地にあった時代、ライターはいわば写真の練習としてたまたま会ったアーティストたちを撮影していました。今回、当時の時代背景を知るうえでおもしろいと思い、アーティストにフォーカスしたワンコーナーを作りました」と佐藤。
じつはウォーホルとライターは同郷で、同郷の共通の友人に紹介されたのだという。ウォーホルは母と一緒にいるところを撮影され、私たちの知る巨匠・ウォーホルと異なるナイーブな表情が印象的だ。