湾に浮かぶような「ブリ御殿」、眺望優れた上質27LDK…国の重要文化財に
亀市はブリ漁の網元で、1891年(明治24年)に「日高式大敷網」を発明したことで知られる。市によると、邸宅は木造2階建て(延べ床面積約772平方メートル)の近代和風建築で、87年(明治20年)頃に水揚場のために海岸を埋め立てて造成し、大正初期にかけて増改築を繰り返して現在の主屋を整備した。
赤水湾に浮かぶようにして立ち、格式高い座敷飾りが特徴的な20畳の大広間、穏やかな海やその先に広がる山々を望む奥座敷のほか、大きなかまどが今も残る台所などがあり、当時の水産業の活気を今に伝えている。
現在は亀市の玄孫で6代目当主の日高保彦さん(66)の家族の居宅としても使われ、間取りは今で言う「27LDK」(保彦さん)という。邸宅では料亭も営まれている。
今回は、邸宅に隣接し、水揚げされたブリを燻製に加工するためのレンガ造りの「燻製室」と、石垣の護岸で造成された敷地約3450平方メートルも合わせて答申された。
保彦さんは「多くの人に家を見てもらうことで地元の歴史を知ってもらい、郷土に誇りを持ってもらえたら」と話した。市は今後、小中学校による見学会を積極的に行うなど、子どもたちの郷土学習にも活用していくという。