『コロナ「5類」引き下げに賛否 専門家「体制整わず」、自治体「負担軽減期待」』へのユーザーの意見まとめ
感染流行の第6波では軽症者と濃厚接触者が多数発生。「社会経済活動の維持」という観点から、軽症者割合の高さが保健所の負荷に見合っていないとの指摘が出ている。機動的で柔軟な対応が必要だが、取るべき対策が法律上の分類で縛られている可能性がある。政府には、より危険度が高い変異株の出現時にも対応できる枠組みの設定が求められている。
感染症法はウイルスの感染力や重症化リスクなどに応じて感染症を「1~5類」などに分類、それぞれ措置を定めている。新型コロナ感染症は上から2番目の危険度の「2類」相当とされ、特例的な「新型インフルエンザ等感染症」という位置付けで取り得る措置が追加されている。保健所などはこの枠組みに基づき、感染者への就業制限や入院勧告、濃厚接触者や患者への健康確認と外出自粛要請などを行っている。
オミクロン株は昨夏の「第5波」を引き起こしたデルタ株を上回る感染力がある一方、重症度が低い可能性が指摘されている。全国に先駆けて感染が拡大した沖縄県では「季節性インフルエンザに近づいた」という印象を持つ現場医師もいる。
季節性インフルエンザの分類は最も危険度が低い「5類」。東京都の小池百合子知事は13日、「国には、5類への変更も含めて科学的な知見を集めてもらうようお願いしたい」と述べた。
新型コロナが5類に分類変更されると、濃厚接触者を特定する積極的疫学調査は実施されるが、無症状者らを含む患者らへの健康観察、入院勧告はなくなる。保健所の負担が軽減されるとの見方もあるが、病床の確保状況によっては入院調整の役割を担う必要に迫られる可能性もある。
一方で、入院費の公費負担は法的根拠がなくなり、自己負担で検査や治療を受けることになる。医師による診断の届け出についても報告期限が「ただちに」から「7日以内」になるため、感染動向の即時把握が困難になる恐れがある。
現状ではワクチンや治療薬の安定供給体制は確立しておらず、重症化や死亡のリスクについての科学的なデータは明確になっていない。昨年末に特例承認された飲み薬「モルヌピラビル」は重症化リスクの高い人に処方されるが、妊婦は使用できない。入院や死亡リスクの低減が30%程度にとどまり、現場への供給体制にも不安がある。
厚生労働省に対策を助言する専門家組織の脇田隆字・国立感染症研究所長はモルヌピラビルについて「インフルエンザの飲み薬『タミフル』のように、早めに内服すれば症状の期間が短縮されるという使い方は難しい」と指摘する。
脇田氏は自宅療養では飲み薬と治療が安心して受けられる体制が必要とし、「今後の薬に期待しなければならない。条件が整った状態で5類にしていくことが必要で、感染が急拡大する中では現実的には難しい」との見方を示した。(川畑仁志)