エルメスのホームコレクションの魅力をたっぷり。「エルメス・パレード」開催レポート
体育館を思わせる広大なスペースに、作業服姿の人々が続々とボックスを運び込む。ここはエルメスのイベント会場だ。世界で初となるホームコレクションの大規模イベント「エルメス・パレード」が、ソウルを舞台に間もなく始まろうとしていた。
CLOCKWISE FROM TOP LEFT: ; ©MAXIME TETARD(3); KIM HYUK; MAXIME VERRET; ©BAKI, KWANGCHAN SONG, DOKI HONG(3)
音楽が鳴り響くと、作業服をまとった人々はダンサーに、ボックスはイベントのキー・アイテムへと変身する。ショータイムの始まりだ。小型のボックスは、横につなげられるとテーブルウェアや椅子を持った人々が闊歩するランウェイへ、そして縦に積み上げられるとアクロバティックなチェスの戦いが繰り広げられる勝負の場へと、次々にそのありようを変化させてゆく。それだけではない。会場内に点在する(あるいは運び込まれた)大型のボックスが開けられるたび、その中から椅子やテーブル、ソファが登場し、ダンサーによる華麗なパフォーマンスが繰り広げられる。ボックスが動くと何かが起きる。カラフルなグラフィックが施されたボックスに私たちの目は釘づけだ。
実はこのボックスの正体は、フランスで用いられる引っ越し用のものである。「引っ越しの際に、家具などを納めたボックスを開くと、見知ったものなのに、驚きや喜び、新鮮な気持ちを抱きますよね。新しい視点でモノを見るということを表現したかったのです」と、ホームコレクションのアーティスティック・ディレクター、シャルロット・ペレルマンは言う。
「それは、エルメスのギフトをプレゼントされ、オレンジボックスを開いたときの気持ちにも通じるものです」
シンプルでありながら機能的、そしてそこにアクセントを添えるグラフィック。さらには、「PLEASEHANDLE WITH LOVE(愛情を持って扱ってください)」「PLEASE HANDLE WITH FUN(愉しみながら扱ってください)」といった、エルメスらしいエスプリあふれるメッセージステッカーもつけられている。このボックスのデザインは、エルメスのホームコレクションのコンセプトに通じるものでは?とペレルマンに尋ねると、うなずきながら「機能的で単純なボックスなのですが、そこにはシンプリシティの美しさが見いだせます」と答えた。