一時的な条件をもって成立する作品を発表。エキソニモの新作個展がWAITINGROOMで開催
エキソニモは千房けん輔と赤岩やえによるアートユニットで、1996年にインターネット上で活動を開始。2000年から実空間でのインスタレーションやパフォーマンス、イベントオーガナイズ等へ活動を広げ、06年に世界的なメディアアート・フェスティバルであるアルス・エレクトロニカのネット・ヴィジョン部門でゴールデン・ニカ賞(大賞)を受賞。15年からはニューヨークを拠点に活動し、国内外で展覧会やイベントを開催してきた。
近年の展覧会として、グループ展「GEMINI Laboratory Exhibition」(2022、ANB
Tokyo、東京)、「楳図かずお大美術展」(2022、東京シティビュー、東京/あべのハルカス美術館、大阪)、「CONNECT THE RANDOM
DOTS」(2021、WAITINGROOM、東京)、「エキソニモ UN-DEADLINK
アン・デッド・リンク[インターネットアートへの再接続]」(2020、東京都写真美術館、東京)、「あいちトリエンナーレ2019
情の時代」(2019、愛知県美術館、愛知)など。令和2年度(第71回)芸術選奨美術部門文部科学大臣新人賞を受賞した。
今回の展覧会は、エキソニモの「記録/記憶」をテーマとした新シリーズ「On
Memory」を中心に構成。この新シリーズは、額縁などのマテリアル、モニターなどの電子機器といった構成要素に加え、永続性をもつと信じられ始めたデジタルデータで、そして人間の記憶が揃うことが作品の成立条件になっている。「リロードすると消え、どこにも記録してはいけない=人間の記憶の中にだけ残る文章」という、非常に一時的な条件をもって成立するという。
あらゆる情報をデジタルデータとして記録することができ、ブロックチェーン技術の登場によりさらにその永続性が高まったとされている現代で、人間の記憶を必須の条件として成立する作品は、デジタルデータや美術作品の永続性、その儚さを、エキソニモ独自のユーモアをもって浮き彫りにするような試みとなる。
なお、本展に合わせてエキソニモは3ヶ所同時に作品を展示。パシフィコ横浜にて7月7日~9日まで開催されるアートフェア「Tokyo
Gendai」にニューヨークのギャラリー「NowHere」から参加、7月8日~10日まで天王洲の「WHAT CAFE & T-LOTUS
M」で開催されるアートフェア「CADAN:現代美術」でも作品を展示する。