20代女性「歌舞伎やバレエ鑑賞での着物の“格”は?」注意点とコーデ例をプロが回答
回答者は…
富澤輝実子●染織・絹文化研究家。昭和48年(1973)婦人画報社(現ハースト婦人画報社)入社以来きもの畑を歩み続け『あのときの流行と「美しいキモノ」』を著す。京都芸術大学非常勤講師、日本シルク学会会員。
撮影=長友善行
お出掛けの際にどの格の着物を着ていけばいいのか悩みます。例えば、歌舞伎、バレエなどの観劇など、それぞれにふさわしい格の着物を教えてください。
まずはりりさんのような若い方から質問が寄せられたことがとても嬉しいです。着物で歌舞伎やバレエを観に行きたいと思われているわけですよね。素晴らしいことです!
りりさんが例に挙げてくださっているようなお出掛けの場合、それほど格を気にする必要はありません。訪問着や付けさげ、小紋のいずれもOKですし、染めでも織りでも、紬でも問題ありません。
ましてや今のような季節(7月・8月)でしたら、夏用の着物をたくさんお持ちで使い分けておられる方は少ないでしょうから、お手持ちの着物を気軽に着回すのがよいと思います。
りりさんが挙げられたシチュエーション別に、装いの注意点とコーディネート例を紹介しますね(コーディネート例は夏の装いです)。
お出掛け先の中でも、着物でいらっしゃる方が多いのは歌舞伎。グループで行かれるなら、お友達やご家族などと相談して、着物の格を合わせることもできますが、おひとりの場合は悩みますよね。そんな時、りりさんのようなお若い方には特に、私はさっぱりした柄付けの爽やかな訪問着や付けさげをおすすめします。夏の爽やかな装いには自然に注目が集まりますし、見られるほうも気恥ずかしさはありますが気分が良いものだと思います。
シックな着物は、年齢を重ねた方なら趣味の着物としてこなれた感じを出しやすいですが、若い方だと少し地味な印象に見られる可能性もあって、せっかくの着物姿が惜しい気がいたします。また、襲名披露などの特別な公演の場合は、年齢を問わず立派な訪問着の方が多いようです。
〈写真右〉着物、帯、帯〆、帯あげ(田園調布・秀や tel.03 -6303-1050) バッグ(山﨑 tel.03 -3669-5667) ぞうり31,900円(伊と忠 tel.075 -221-0308) 〈写真左〉着物(野口 tel.075 -211-3551) 帯(西陣まいづる tel.075 -441-0001) 帯〆と帯あげ(さんび[荒川]tel.075 -341-2113) バッグ(アトリエ花傳 tel.03 -3476-8011) ぞうり(神田胡蝶 tel.03 -3253-1511)