ピカソの作品価格が落ちているわけ──時代の“再評価”が始まった
ピカソ作品の価格の低下について、いくつかの原因が考えられる。エル・パイスは、この世界的な危機の時代に、コレクターが所有作品を手放すことに弱腰であること、加えて、ピカソの私生活への疑問を要因に挙げる。エコノミストも同様に、ピカソの女性に対する「下劣な振る舞い」と、「現代の芸術家へのピカソの影響力の低下」を指摘する。
没後50年にあたる2023年、美術館関係者だけでなく世間でも、ときに暴君的とも言える、女性たちへのピカソの行動に批判が高まっている。エコノミストは、サルバドール・ダリやバルテュスも含めた著名な芸術家の作品も、彼らのプライベートでの振る舞いによって批評家やコレクターの目から価値が失われてしまったとし、世界各地で開催される没後50周年の展覧会がどのように受け止められるのか、コレクターの不安を伝える。
他方で、スペイン・マドリードにあるソフィア王妃芸術センターの前館長マヌエル・ボルハ=ヴィレルは、「中長期的にピカソの重要性が薄れていくとは思えない」とエル・パイスの取材に語る。
ボルハ=ヴィレルの読みは正しいのだろうか。今後のピカソの立ち位置は、これから開催されるオークションの結果で明らかになるだろう。