自然を愛した若山牧水 鳥にまつわる短歌や随筆をまとめ出版
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静岡・沼津で晩年を過ごした旅の歌人、若山牧水(1885~1928年)は、鳥を詠んだ短歌を849首残している。牧水を顕彰する沼津牧水会は鳥にまつわる牧水の短歌、童謡、詩、随筆、紀行文を1冊の本「牧水 鳥」(文庫本サイズ・384ページ・1200円)にまとめ出版した。
沼津市制100周年の牧水会記念事業。短歌は、あおさぎ▽あおじ▽あおばと……と、詠まれた鳥の50音順に並べ、それぞれの鳥の写真を添えた。表紙は「空の青」の色。渡り鳥のように全国を旅した牧水が最後に羽を休めた沼津の地の人々が、没後95年の牧水に贈った本でもある。牧水の墓がある乗運寺住職で沼津牧水会理事長の林茂樹さん(84)は「牧水は数多くの花鳥風月の歌を詠んだ。自然を愛し、自然を大切にした牧水の熱い思いを知ってもらいたい。牧水の花、樹木の本もいずれ編みたい」と話した。
また、沼津牧水会は「小中学生に牧水をもっと知ってもらおう」と市内38小中学校に各6冊ずつ寄贈し、寄贈式が3日、同市本の若山牧水記念館で開かれた。林理事長から本を受け取った山崎巌・教育指導監兼学校教育課長は「小中学校の短歌の学習では、身近に感じられる牧水から授業に入り、地域学習や自然学習につながるきっかけにしたい」と話した。
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鶸(ひは)繡眼児(めじろ)燕(つばめ)山雀(やまがら)啼(な)きしきり桜はいまだ開かざるなり
【石川宏】