“たたる”妖刀、忠実に再現 村正=桑名、広く発信、神社に展示
神社に奉納された宝刀は桑名の刀工、村正が室町時代の天文12(1543)年に制作。工芸技術や文化史の面から価値が高いとして2016年に県有形文化財に指定された。普段は市博物館で厳重に保管され、人目に触れる機会がほとんどないため、不破義人宮司が「“桑名発”の村正を広く伝えよう」と、写しの制作と常設展示を企画した。
資金はインターネットを活用したクラウドファンディングで募り、村正の高い知名度から1800万円を超える支援が寄せられた。20年夏から埼玉県の刀匠の手で作られ、22年1月に完成した。
展示施設は社務所の一角を改修して整備。ここは明治期に明治天皇らが滞在した料亭「船津屋」(同市船馬町)の部屋を約60年前に移築した場所で、その縁から皇族が名付けた部屋の名前「眺憩楼」を展示施設の屋号にした。
不破宮司は「村正は全国区だが、必ずしも桑名と結びついていない。常設展示を通して村正=桑名が定着し、地域の歴史や文化の発信に貢献できれば」と話している。
鑑賞は6月末まで無料。午前10時から午後3時で不定休。問い合わせは桑名宗社(0594・22・1913)。