形、色、質感を自在にカスタム。ブルレック兄弟が見せる日本のタイルの可能性。
岐阜県南部の多治見は、美濃焼をはじめとした多様な焼き物文化が伝わるエリア。なかでも、20世紀初頭に始まったタイルづくりは、現在でも国内生産量トップを誇り、時代を超えて卓越した技が継承されてきた。
ひとえにタイルといっても、焼成方法や釉薬の種類によって、無限のバリエーションを作り出すことができる。この可能性を新たなアプローチから探るべく、多治見のタイル商社、エクシィズは、〈タジミ・カスタム・タイルズ〉を2020年にスタート。
国内外のデザイナー、建築家からの依頼を受けつつ、同時に自主的なプロジェクトとしてイギリスのマックス・ラム、韓国のイ・カンホとのコラボレーションを手掛けてきたが、今回その第3弾としてフランスのロナン&エルワン・ブルレックがデザインした新作《ソセイ》を発表する。
《ソセイ》は、いくつかの成分や要素によって、ひとつのものを組み立てることを意味する「組成」から名付けたもの。ブルレックは、サイズ調節が自在で、立体的な造形も可能な押出成形技術でかたちづくったオブジェは、焼成すると透明感と奥行きが際立つ釉薬をかけて仕上げた。円筒型のボディに平面のタイルを組み合わせたオブジェは、幾何学的な均衡のなかに自由な躍動感を兼ね備えており、見るものの想像力をかき立てる。
発表を記念しての特別展が10月29日から東京・中目黒のギャラリー〈リヒト〉でスタート。コンポジションと色彩の絶妙なバランスを楽しむインスタレーションが繰り広げられる。
〈リヒト〉東京都目黒区青葉台3-18-10 カーサ青葉台2F TEL 03 6452 5840。2022年10月29日~11月6日。11時~18時。会期中無休。