装着型サイボーグHALを教育現場へ 最先端技術を学び未来志向に
ハルは、筑波大の山海嘉之教授が開発し、同大発ベンチャーのCYBERDYNE(サイバーダイン)社が製造・管理する装着型サイボーグで、腰タイプや下肢タイプなどがある。人間が身体を動かそうとする際の脳からの信号をセンサーが読み取り、機械が動作を補助する。現在は医療や介護などで広く利用されている。
茨城大教育学部の川路智治助教(技術教育)らの研究グループは、中高の生徒たちに最先端技術への関心を持ってもらおうと、教材としてのハルの可能性に着目した。昨年度からサイバーダイン社と協議を重ね、ハルを利用した教育活動に取り組むことになった。
岩瀬西中の3年生の生徒20人は4人ごとのグループに分かれ、川路助教らの講義を聴いたり、ハルを実際に使ったりして最先端技術を体験した。
川路助教は、ハルが事故や病気で体がまひした人の身体機能の改善に使われていることなどを説明。また、理想的な体の動かし方を体に覚えさせる効果があることを理解させるため、事前に前屈やジャンプの記録を取ってから、ハルを装着し動きがどうサポートされるかを体験した。
ハルを外して再び前屈やジャンプをすると、平均で装着前より前屈が2・4センチ、ジャンプで3・4センチほど記録が伸びた。中には前屈が9センチ伸びた生徒もいた。
福田瑛汰さん(15)は「思ったより(ハルが)アシストしてくれて、自分の体の一部のように感じた。自分でも(まだ開発されていない)指先などのまひに使えるサイボーグを作ってみたい」と将来の目標につながった。
川路助教は「ハルは一つの例であり、最先端技術と出合う機会を提供して未来志向の生徒を育てることを全国の教育現場に広めていきたい」と話した。(篠崎理)