大石内蔵助の次男に光 新作の朗読劇、市民が熱演 兵庫・豊岡
朗読劇「冴(さ)え月の儚(ゆめ)~大石吉之進物語」は7月30日、豊岡市の豊岡市民プラザで2回上演され、計約550人が来場した。実行委員会の主催で但馬ミュージカル研究会などが協力。舞台に立つのは初めてという市民も含め、高校生から70代までの市民13人が出演した。
劇は、吉之進にとって最期の地となった豊岡が主な舞台で、理玖は内蔵助から大石家と子どもらの将来を託された。討ち入りした内蔵助と長男主税(ちから)は処断され、吉之進も追及の懸念から出家。病気のため19歳で亡くなるまで大石家の再興を志したという物語が披露された。
吉之進役の豊岡市但東町の会社員、小山尚之さん(57)は「吉之進の知名度アップと共に、つらい思いをしながらも挑戦を続ける姿勢が伝わるように努めた」という。演出担当で理玖役で出演した千葉みつ子さん(75)=豊岡市=は「高校生も大人も役柄、場面に合わせ、要所を押さえていただいた」と振り返り、豊岡市出身で脚本を担当した岡本真さん(75)=京都府木津川市=は「出演者には2月ごろからの台本読み以来、楽しんで取り組んでいただいた。公演では吉之進の物語を届けた手応えを感じた。感謝したい」と話した。
また、市民グループ「大石吉之進の会」(渡辺信和代表)は、第2回「大石吉之進まつり」(7月23日~8月5日)を開催。7月30日には豊岡市立図書館本館で、交流会や吉之進のストラップ作りがあった。図書館ではこの日まで、赤穂義士らの和紙人形を使った討ち入り場面のジオラマなども披露された。
113体の人形は、京都府京丹後市の人形作家、小森明美さん(81)ら5人でつくる「倭紙(わし)人形の会」の手作り。討ち入りの場面は、赤穂義士らが刀やヤリを手にして今にも動き出しそうに身構え、小森さんは「動きを考えるのは楽しかった」という。ストラップのデザインも考案した。
渡辺代表は「和紙人形は素晴らしく緻密なので、赤穂義士ゆかりの場所での展示も考えたい」と話した。5日は豊岡市三坂町にある吉之進の墓所で法要が予定されている。