【山口】一体なぜこんなルートになったんだ!? 60年前に開通、不思議で謎だらけの愛され険道「山口県道270号」を愛でる
県道270号の正式名称は「山口県道270号田耕湯玉停車場線」です。停車場線とは「鉄道の駅へ向かう道」であることを示します。県道270号以外にも各都道府県に多くの停車場線と付く県道が存在します。
しかし、県道270号はその中でも少し変わった停車場線なのです。
県道270号は、下関市豊北町の田耕から下関市豊浦町の宇賀(うか)へ至ります。ルートの先に確かにJR山陰本線の「宇賀本郷駅」があります。地図を見ても、まさに宇賀本郷駅へ向かっているようなルートです。しかしそこが終点ではありません。華麗にスルーします(!)。山口県道270号は、宇賀本郷駅付近で国道と重用する区間(実質は国道191号線)に入り、もうひと駅先へ進んだJR山陰本線の湯玉駅が終点になります。
同じJR山陰本線で先に着く宇賀本郷駅が終点でいいのでは……と思ってしまいます。「田耕宇賀本郷停車場線」にならなかったのはなぜなのでしょう。
資料を見ているだけでは分からない不思議、謎がある山口県道270号、一体どんな道なのでしょうか。
県道270号の起点は、山口県下関市豊北町大字田耕にある無名の交差点。国道435号から分岐します。標識には「宇賀」方面とあります。
いきなり気になるところがありませんか? そう、ガードレールがオレンジ色です。普通は白、でも山口県ではオレンジ色が一般的なのだそうです。県外ではなかなか見ない色なのでびっくりですよね。
調べたところ、1963年の山口国体をきっかけに、当時の知事が「ガードレールを萩市の特産品で県花でもある“夏みかんの色”に変えよう」と発案し、定着したのだそうです。山口県では県道と県が管理する国道に約1200キロのガードレールが設置されているそうですが(2014年時点)、その大部分はオレンジ色だとのことです。
余談ですが、そんな夏みかんが特産品の萩市では、1993年に当時の市長が「黄色系は注意を喚起する色。町並みにふさわしくない」として、ガードレールを「ダークブラウン」にしてしまったのだそうです。なぜブラウン……? 今回は字数の都合で深追いしませんが、ガードレールの色1つ取っても面白そうなエピソードがありました。
県道に入るとすぐ、安楽寺前に県道を示す標識、通称「ヘキサ」もきちんと立っていました。
しばらく進んでいくと、太田川を橋で越えます。太田川は途中まで県道270号と並行して流れる河川です。この後も何度も交差しながら進みます。
おや、再びガードレールの色に注目です。直進する県道のガードレールはオレンジ色ですが、左に分かれる道は一般的な白色です。
これは道路の管理者が違うためです。前述した通り、オレンジ色のガードレールは県が管理する県道および一部の国道で使われます。一方の白ガードレールの道は管理者が別であることが分かります。道路趣味者からすると、たどるルートがひと目で分かるので便利です(笑)。