〈THE ROW〉がオマージュを捧げる彫刻家ビヴァリー・ペパーとは? 32年ぶりに作品が上陸。
2020年2月にこの世を去ったアーティスト、ビヴァリー・ペパーをご存知だろうか。ニューヨークで生まれ、ブルックリンのプラット・インスティテュートで産業デザイン分野のアートを学んだ後に、画家としてのキャリアをスタートさせたが、ほどなくして彫刻の世界へと没頭しはじめる。独学ではじめた彫刻制作は、鋳造と木彫を融合したオブジェにはじまり次第に、ランドスケープアートへと広がっていく。工業的な素材や技法を多用しながらも、柔和で優美な造形美を備えたオブジェを生む彼女は、男性が活躍していた当時の彫刻アート界において稀有な存在だったという。
〈THE ROW〉はそうした”超男性的な素材と超女性的なフォルムが共存する”彼女の作品にオマージュを捧げ、2020年秋冬コレクションを制作。壮観な空間の中でコレクションは披露されたが、惜しくもその数日前にビヴァリー・ペパーは亡くなってしまっていた。
以来、ブランドにとってもかけがえのない存在となった彼女の60年代~70年代の作品が日本に上陸する。伊勢丹新宿店本館にオープンした新シグネチャー《ソフィア》をはじめとしたバッグを揃えた期間限定ストアをインスタレーション空間に見立て、〈PACE Gallery〉協力のもと6点の彫刻作品を披露。彼女の作品が日本に上陸するのは、1991年に恵比寿で個展を開いて以来、約32年ぶりになる。
直線と曲線を融合した彼女の静謐でありながら力強い彫刻作品とバッグを引き立てるように、ストア内はギャラリーのようなインスタレーション空間に一新。T文字のクロージャーが特徴的な《ソフィア》のほか、《マルゴー》などの人気のバッグも一堂にそろうほか、空間に合わせたミッドセンチュリー家具などもレイアウトされる。〈THE ROW〉が2年越しに実現させたビヴァリー・ペパーとの世界へ、ぜひ浸ってみてほしい。
伊勢丹新宿店 本館 1 階 ザ・ステージで12月6日まで。12月26日から1月10日までの期間で、阪急うめだ本店 1 階 コトコトステージ 11でも開催。