【今週見るべき展示会】マネが日本に与えた影響、高橋大輔 の個展、元木造アパートでの展覧会
19世紀フランスを代表する画家エドゥアール・マネが、明治以降、日本の画家たちに与えた影響は大きい。たとえば、石井柏亭はマネの《草上の昼食》にインスピレーションを得て、《草上の小憩》を描き、山脇信徳や安井曾太郎らも、筆触や構図、モチーフとマネの絵画を参考にした。当時の批評家、木下杢太郎は「マネを理解することこそが西洋近代絵画を受容する上で不可欠である」と述べている。
写実主義の流れを汲み、印象派のメンバーと親しくしながらも印象派には参加しなかったマネ。本展は、西洋美術史におけるマネの立ち位置を再考しながら、日本の画家たちのマネとの出会い、そして、現代にかけてマネへの理解はどのように変化したのかを探る。展示作品は、マネの油彩画(パステル画を含む)7点のほか、印象派の作品や日本近代洋画。マネの《笛を吹く少年》を着想源にした現代美術家、森村泰昌の《肖像 少年》、福田美蘭の新作も並ぶ。
『日本の中のマネ ―出会い、120年のイメージ―』
会期:~11月3日(木・祝)
会場:練馬区立美術館
住所:東京都練馬区貫井1-36-16
時間:10:00~18:00 ※入館は閉館時間の30分前まで
休館日:月曜(祝日の場合は開館、翌平日休館)
料金:一般 ¥1,000、大学・高校生・65~74歳 ¥800、中学生以下および75歳以上無料
電話:03-3577-1821
高橋大輔は、自身の生き方と“絵画とは何か”といった問題に向き合いながら、作品スタイルを柔軟に変化させてきた。初期、注目をあつめたのは、絵の具をオブジェのように立体的に厚塗りした絵画作品。夜中、蛍光灯の下でキャンバスに一対一で向き合いながら描いていたことから自身が「夜の絵画」と呼ぶシリーズだ。その後、結婚、娘の誕生によって昼型の制作・生活リズムになると、薄塗りの「昼の絵画」へと転換。近年では子どもの玩具をモチーフにした「Toy」シリーズ、文字を画面に取り入れた「白昼夢」シリーズなど、画題を広げている。
天王洲・ANOMALYでの個展『絵画をやるーひるがえって明るい』では、最新作を含め約30点の作品を見せる。「自分が今居る場所や等身大の日常、ひいては自分が生きているということを強く肯定することになった」「気持ちは、ひるがえって明るくなり、さらに身近なものを描くようになりました」と高橋。「絵画をやる」という意思と「明るい」という心の状態を一本の線で結んだような展覧会名も印象深く、絵を描くことと生の営みとが密接に関わりあう画家の現在地を本展で確かめたい。
高橋大輔『絵画をやるーひるがえって明るい』
会期:~10月8日(土)
会場:ANOMALY
住所:東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex Ⅰ 4F
時間:12:00~18:00
休廊日:日・月曜、祝日
料金:無料
電話:03-6433-2988