岡本太郎、パリ時代の油彩画3点が歴史的新発見! 大回顧展で初公開。
没後史上最大規模のスケールと謳われる『展覧会 岡本太郎』が〈大阪中之島美術館〉でまもなくスタートするが、直前になってニュースが飛び込んできた。
岡本太郎は1930年からの10年間をパリで過ごし、抽象絵画を描いていたことが当時の画集や雑誌記事でわかっている。しかし1940年に日本へ帰国する際にパリから持ち帰った作品はすべて戦災で焼失してしまい、岡本のパリ時代の作品は1枚も現存しないと考えられてきた。
ところが1993年、パリ市内のアトリエ村〈シテ・デ・フュザン〉で廃棄されそうになった作者不明の絵画1点を拾得し、さらにフランス政府からの委託でオークションにかけられた2点を落札し保管していたフランス人が、キャンバスの側面に残された漢字署名の筆跡などから岡本太郎のものではないかとほぼ確信。その後、日本側に連絡が入り、各種分析結果から3作品は岡本太郎が描いたものである可能性がきわめて高いという結論が出た。
「まだ自身の芸術が確立されていないが、のちの岡本太郎の抽象絵画やシュールレアリスム作品の原点として貴重な発見」と岡本太郎記念館館長の平野暁臣氏は語る。また、これまで岡本太郎の様々な展覧会や出版に関わってきた美術史家・明治学院大学教授の山下裕二氏も「99%の確率で岡本太郎の作に間違いない」と太鼓判を押す。
本邦初公開となる油彩3点を通して、自らの芸術に到達するためにパリで模索していた20代半ばの岡本太郎を感じることができるだろう。
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〈大阪中之島美術館〉大阪府大阪市北区中之島4-3-1 TEL 06 4301 7285(大阪市総合コールセンター)。2022年7月23日~10月2日。2022年10月18日~12月28日は〈東京都美術館〉、2023年1月14日~3月14日は〈愛知県美術館〉に巡回予定。