空間、アート、食。京都のスモールラグジュアリー〈The Shinmonzen〉で、五感を刺激する滞在を。
「シンモンゼン」のSの字が染め抜かれた暖簾をくぐって中に入れば、京都らしい鰻の寝床を感じさせる長いアプローチが現れる。壁の一方は格子、もう一方は打ちっ放しのコンクリートと、らしい意匠が気持ちを盛り上げてくれる。
フランス・プロヴァンスのワイナリー〈シャトー・ラ・コスト〉内にある〈ヴィラ・ラ・コスト〉の姉妹ホテルであり、同様のコンテンポラリー・アートと共に、日本の伝統的できめ細やかなホスピタリティでもてなす〈ザ シンモンゼン〉。館内の空間演出はフランス人インテリアデザイナー、レミ・テシエが手がけた。
全9室の客室はすべて、白川に面したプライベートバルコニーを持つスイートルーム。内装はそれぞれ異なるものの、自然に神々が宿ると捉える日本古来の考え方を大切に、竹や漆、絹、石といった自然素材をふんだんに使用している。障子や畳、檜風呂といった日本らしい意匠に加え、フランスから輸入した大理石をくり抜き仕立てたシンクなど、和洋を取り合わせた空間は上質で静けさに満ち、深いくつろぎをもたらしてくれる。
さらにホテルを語る上で欠かせないのがアート作品。ダミアン・ハーストや杉本博司、ルイーズ・ブルジョワら錚々たる顔ぶれから、無名のアーティストによるものまで。ラウンジや廊下、そして客室を日本画や絵画、写真、刺繍など、数多くのコンテンポラリー・アートが彩る。まるでギャラリーに宿泊していると錯覚させるほどの、見応えあるコレクションもまた贅沢だ。