猫のオブジェが会場を歩き回る! ハビア・カジェハが最新個展で見せるユーモラスなしかけとは。
水晶のような大きな目をうるうるとさせたこども。ハビア・カジェハは、そんな愛らしいキャラクターをモチーフにした絵画やオブジェ作品で、近年、広く注目を集めているアーティストだ。
〈渋谷PARCO〉4階のギャラリー〈PARCO MUSEUM TOKYO〉で開かれている個展『ÜNTER, THE CAT SHOW』では、新作を含め、彼がこの5年ほどの間に制作した選りすぐりの作品を紹介している。
実はこのこどものキャラクター、かつてカジェハが作品に描いていた “雲”のモチーフが発展して生まれたものだという。
「もともとは、雲から水滴が雨のように落ちているような絵を描いていました。そのモチーフを何度か描いているうちに、雲が髪の毛のように、水滴が目のようになり、自然と今のようなキャラクターになっていったのです。彼らの目が潤んでいるのは、そういう理由です」
雲は、カジェハがファンだと公言するシュルレアリストの画家、ルネ・マグリットの作品によく見られるモチーフでもある。今のような作風に転じる前は、そういった美術史的なコンテクストを意識しながら作品を制作した時期もあったそうだ。
「特に美術学校を卒業したあとは、もう少しアカデミックでコンセプチュアルな作品を作らないといけないと思っていました。キャラクター的な作品というのは、ファインアートの世界ではあまり受け入れられない傾向があったので。
また、東京も同じだと思いますが、僕が住んでいるスペインでは、若い作家が広いスタジオを借りるのは金銭的に困難。だから僕の場合は、小さいアトリエで、すごく小さい作品を作っていたりしていました。本当に小さい作品。たとえば、1㎠くらいのキャンバスの絵画とか(笑)」