気鋭の彫刻家・土屋仁応が東京・銀座で新作展『進化論』を開催。
仏像などの高度な修復技術をもつ土屋仁応が生み出す、幻想的な彫刻の数々。それは作家のイメージから出発して、時に透かし彫りの肌を与えられたり、双頭の生き物に変容したりする。実在の動物のようでもあり、空想上の聖獣のようでもある作品は見るものの想像をかき立てるのだ。
本展では新作の《始祖鳥》をはじめとするオリジナル木彫作品のほか、マルチプルのレジン作品も展示される。前者では独自の彩色方法で淡い色彩が、自身のスタジオ内で一貫制作される後者では発色のよさが特徴的だ。
土屋は作品制作の原動力について、こう語っている。
「生き物たちは常に、人間などが到底思いつかないさまざまなバリエーションをうみだして連綿と命をつないできました。命をめぐる環境は常に変化するので、何が正解かはいつもわからない。正解に向かっていく一本道ではなく、失敗か無駄か、近道か遠回りかもわからないなかで手探りをして、いろんなバリエーションを生み出しながら、全体としては命をつないできた、そういう命の在り方が、私の作品群の展開の礎となっています」
なお会場では10年ぶりの第2弾作品集『進化論』の先行販売、「スーベニアコレクション」のアートトイ《Deer 01》の少数限定販売も行われる。
〈MEGUMI OGITA GALLERY〉東京都中央区銀座2-16-12銀座大塚ビルB1 TEL 03 3248 3405。11月18日~12月10日。12時~18時。日曜・月曜・祝日休。
作家本人の写真による作品集。初作品集『聞耳の森』以降の近作と、制作イメージ、エピソードを収録。デザインは林修三(リムラムデザイン)。求龍堂刊。4,180円。12月9日発売、『進化論』展会場で先行販売される。