漫画「フクちゃん」横山隆一の未発表絵本 記念館と高知市が出版
幼児向けの絵本で題名は「ふうせんどり」。南の島に飛んでいく鳥の家族の中で、1羽だけ「とぶのはきらいだよ」と言って飛ばずに残る。さて、この子は家族と再会できるのか……という物語。横山氏の漫画作品を思わせるシンプルな線と色遣い、温かなストーリー展開が印象に残る作品だ。
同館の大野雅泰学芸員によると、横山氏が出版しようと文章と絵をまとめたが、出版社が倒産してお蔵入りになったという。2002年に同館が横山氏の遺族から原画を譲り受け保管していた。原画の保存状態などから、描かれたのは横山氏の晩年にあたる1990年代と推定されている。
2018年に同館の企画展で「ふうせんどり」の原画展示と朗読会が開かれた時、参加者から「絵本として、ぜひ手元に置きたい」との声が相次いだため、出版を決めた。大野さんは「横山隆一は漫画だけでなく、絵本を50冊程度出版した絵本作家でもある。年月を経ても色あせない面白さを大人も子どもも楽しんでいただきたい」と話している。
「ふうせんどり」(26ページ)は高知市内の保育所、幼稚園、小学校と県内の図書館に寄贈される。同館ホームページでの通信販売のほか、県内書店でも販売される。1100円。問い合わせは同館(電話088・883・5029)。【小林理】