森山未來が出身地・神戸とディープに対話、思い描く「理想」は?
同プロジェクトは、メインキュレーターをつとめる森山未來を中心に、国内からアーティストを集い、実際に神戸に滞在しながらリサーチし、それぞれのアーティストが発見した「モノ・コト・バショ」を元にアート作品制作、あるいは演劇、ダンス、音楽ライブといったパフォーマンス作品を招聘し、上演してもらうというもの。
──2022年9月から本格始動したプロジェクト。「『パブリック・アート』はつくらずとも、『パブリック』に『アート』はすでにある」と、街をあげてのプロジェクトとしては珍しいものだと思います。
森山「そうですね。このプロジェクトに関しては、『やったからOK』ではないというか。ここからどう人々に認知してもらって巻き込んでいくかが大事。今回は例えば空き屋や廃墟などといった、かつてあり、そして今は忘れ去られている、そういったものがフォーカスされているのですが、そこにはかつて人々の動線があり、風が流れていたわけです」
「そういう場所にアーティストの視点が入ると、これまでの観光のあり方とはまた違う『文化観光』の視点が生まれていく。一過性で終わらず、中長期的に続けていくことで、『どのような景色が広がっていくのか』というところをこれからも共有していけたらいいなと思っています」
──内海さんはこのプロジェクトのどこに魅力を感じましたか?
内海「そうですね、かなりユニークな企画だと思っています。各地に芸術祭があるのに、神戸だけ蓄積されていないということも気になっていたので、そこを新しい形で今後も続けていけるのであればすごく価値があると思います。年間を通してイベントが開催されたりアーカイブを見る機会があったりと、『通年の芸術祭』みたいな形になると、いいかなと」
──なるほど、あくまでもスタート地点にすぎない。
内海「あと森山さんが神戸の人というのが、すごく大きくて。だいたいの芸術祭はキュレーターをどこかから呼んできて、イチからリサーチして・・・と考えていくのですが、森山さんはめちゃくちゃ神戸のことを知ってはったから(笑)。そのリソースが使えたし、人的な魅力がプロジェクトに入っているというのは、初年度としてはすごくアツいものになったのでは?」
森山「まあ、初年度にありがちな、ちょっと盛りすぎたっていう話もありますけど(笑)」
内海「でもアートだけだと正直厳しいというところもあると思うので、『喫茶演劇』だとかダンスや大道芸など、そういうものが一緒になっていることで豊かな企画になったのではないかと思いますね」