スノーピークが作るあたらしい“まち”〈野きろの杜〉とは?
新潟市の中心地から車を30分ほど走らせると、目前に広がる豊かな田園風景。西蒲区と呼ばれるこの地に、スノーピークが合同で手がけた住宅街〈野きろの杜〉はある。さる2022年12月に街開きが行われ、その1歩を踏み出した現地を訪れた。
〈野きろの杜〉はスノーピークが、同じく新潟を拠点にする〈新潟土地建物販売センター〉と〈石田伸一建築事務所〉とともに作り上げた。コミュニティ広場、生活・交流施設、賃貸住宅、戸建住宅、ゲストハウスなどで構成され、それぞれが緩やかに繋がりながら街を形成していく。
訪れるとまず目に飛び込むのは、街の中央に位置するコミュニティ広場〈Life Site 野きろ〉。訪れた際は雪に覆われた状態だったが、春になると一面に芝生が広がり、人々が集う場となる。ここを中心として、周囲に住宅や施設が並ぶ予定だ。
スノーピークのアーバンアウトドア事業を担当する王治菜穂子は、この企画の経緯を語る。
「〈新潟土地建物販売センター〉さんと〈石田伸一建築事務所〉さんが立ち上げていたプロジェクトに、スノーピークが監修という形で参加しました。今回が街作りとしては3例目で、規模としては最大のものになります」
これまでも分譲住宅などの監修を行なってきたスノーピークだが、ここまで大規模に1から街を作るのは初めてだという。スノーピークの姿勢に共感する2社から依頼され、全体の監修を担うことになった。
〈野きろの杜〉は全体のコンセプトとして、「野遊び」というキーワードを掲げている。先述の〈Life Site 野きろ〉には焚き火台を置くこともでき、住民が自由に焚き火やバーベキューなどを楽しめるようになる。キャンプよりもカジュアルな「野遊び」をテーマに据えることで、自然との気軽な交流を提案していく。さらに建設予定の各住宅も、「野遊び」を意識したデザインになっているという。
「普通の住宅地だと、他の住民との関わりはあまり多くないと思います。でもキャンプでは他者との関わりがある。そういったキャンプの世界観を街として共有したいと思ったんです」そう語るのは、〈野きろの杜〉の街全体や住宅のデザインを手がける建築家の石田伸一。この街に建つ住宅には、土間リビング、庭、ウッドデッキのいずれかを付けることが必須となっており、各住宅は緑道で繋がっていく。住まいと自然を繋ぎ、「野遊び」へと住民を導く作りになっているのだ。