「竹の球体」に「巨大な卵」!? 小豆島に新作アートが集結…瀬戸芸の見どころをご紹介【香川発】
山の中に現れた巨大なアート作品。島の自然と芸術が織りなす暑い夏が始まった。「瀬戸内国際芸術祭」は、瀬戸内の12の島々と2つの港を舞台に、2010年から3年に1度開かれている。
5回目を迎えた今回は、33の国と地域から参加したアーティストによる214の作品と19のイベントが公開されている。そして、夏会期の会場となる7つの島のうち、小豆島には多くの新作がそろっている。
小豆島は岡山市の新岡山港、高松市の高松港からいずれもフェリーで約1時間。まず向かったのは、農林水産省の棚田遺産に選ばれている「中山千枚田」。
島の山間にある棚田のふもとに現れた球体が、夏会期から公開の新作「ゼロ」だ。
中塚美緒アナウンサー:
竹でできた小道を歩き、球体の中へ入ることができます。球体の入口は少し低くなっていて、茶室をイメージしているそうです。くぐって入ると…広い!不思議な空間。木漏れのような光が心地良いです
直径約15メートルで、地元の竹を4000本以上も使って作られている。
作者である台湾のアーティスト、ワン・ウェンチーさん。瀬戸芸に初回から参加し、これまで毎回、小豆島にちなんだテーマで制作してきた。
過去2年はコロナ禍で海外での創作活動は困難を極めたといい、今回の作品には「人類の全てがゼロから出発することになった」という思いを込めた。
ワン・ウェンチーさん:
空間に入ってリラックスして、自然と一体となることを体感して
中塚美緒アナウンサー:
とっても気持ちが良い!幸せなひと時を過ごせそう
続いては島の南東部、特産のしょうゆの蔵が並ぶエリアに2022年オープンした「醤の郷現代美術館」へ。かつて、しょうゆメーカーの組合の事務所として使われていた洋館をリノベーションし、若手作家が部屋いっぱいに描いた絵など、現代アートを中心に110点を展示している。
中でもひと際目立つのが、ロープでつるされたオリーブの苗木だ。作品名は「見えない軸ー距離と角度/オリーブ」。
醤の郷現代美術館・石井純館長:
植松奎二さんのコンセプトは、見えないものを形にする。おそらく、このようにぶら下がって 引力や重力を表現しているのでは
中塚美緒アナウンサー:
こういった形で小豆島の名産品、オリーブがアートとして組み込まれる。小豆島らしい、ここでこそのアートですね
大きな円とぶら下がった石の作品も植松奎二さんのもので、その隣には妻でアーティストの渡辺信子さんの作品も展示されている。
醤の郷現代美術館・石井純館長:
木の枠に布をはかせている。すごく美しいカーブが出る作品
中塚美緒アナウンサー:
ご夫婦でこのスペースを作られたと聞いて、支え合っているような、2つで1つという感じがして。夫婦の合作らしいアートと感じた
美術館には現代アートだけでなく、小豆島の風景画も約40点展示されている。そこには、美術館を設立した石井さんの未来への願いが込められていた。
醤の郷現代美術館・石井純館長:
アートに触れた子供たちが島の素晴らしさを再確認して、将来、島の抱える課題を解決しようと 思ってくれるような大人に育ってくれたらうれしい