心動かす「オモロイコト」で日本を盛り上げたい アート活動支援団体
私たちの団体は元々、アートに携わる人々の創作活動を支援するために設立されました。活動を始めた18年前、私はインディーズ映画(自主制作映画)の監督をしており、活動拠点の大阪府立青少年会館(大阪市中央区、2009年6月閉鎖)には同業者の他に演劇、音楽、絵画、ダンスなどありとあらゆるアート関係者が集まっていました。ある時、その中の映画監督が賞を取りましたが、賞金は監督や俳優のもので、例えばメーク担当や服飾担当といった裏方には行き渡らない。
これはおかしいと思い、当時毎年10月に行われていた「御堂筋パレード」というイベントで裏方たちのアート活動をアピールすることにしたのですが、その準備のために作った団体でした。その設立理念は今も変わらず、所属アーティスト(現代芸術家、クレヨン作家、ミュージシャン、イラストレーター、カメラマンら)の活動を支援していますが、近年最も力を入れているのは子供を主体にしたイベントの企画・参加です。
◇「おばけ屋敷」が活動の柱
特に09年から始めた「最恐(さいきょう)おばけ屋敷」は活動の最大の柱です。大阪市東成区役所から「勉強やスポーツ以外の活動をしたい中学生の居場所づくり」の依頼を受け、1カ月程度の準備をしておばけ屋敷を催す子供参加型ワークショップを提案したのが始まりでした。
勉強が苦手で塾に通わず、運動が苦手で部活動もしていない。そういう子供は少なくないですが、彼らは居場所や活動の場がないのです。そのままにしておくと、非行に走ってしまう可能性もあります。おばけ屋敷なら役者、メーク、演出、美術、音響など役割が多くあるし、日常ではできない「人を驚かせる」ことは楽しいものです。その後は多くの行政機関などから依頼を受け、生野区や住吉区など大阪市内各区に加え、京都府、奈良県、香川県などでも実施したり、中学生以外にも参加年齢を広げたりして、子供だけでなく大人も喜んでいます。
私たちが演じる大阪のご当地ヒーローの「アート戦士エーヤンダーⅤ(ファイブ)」(06年秋の結成当初は「関西戦隊A-yan!!れんじゃ~」)も各種イベントに引っ張りだこです。色とりどりの仮面とコスチュームを着た5人の戦隊ヒーローが、関西を悪い子でてんこ盛りにするのが目的という設定の悪役「怨怒霊団(おんどれだん)」と戦うショーです。これ以外にも出張図工教室開催、手作り紙芝居の実演、手作り楽器バンドの演奏などさまざまな活動をしています。
スポーツも「オモロイコト」なので、アートと思っています。私は格闘家でもあり、20代でシュートボクシング(投げ技や関節技のあるキックボクシング)、30代では修斗(総合格闘技)などをしていたし、21年には試合時間1分間の総合格闘技大会「ブレイキングダウン」の第1回、第2回大会に出ています。私の練習相手を集めようと「公園MMA(ミックスド・マーシャル・アーツ=総合格闘技)」という大人向けイベントも催しています。子供向けスポーツイベントでは、生野区で開発・製造されたサンダル「リゲッタ」を履き、足を振ってそれを遠くに飛ばす大会などを開いています。遠くまで飛ぶと気持ちいいものです。
当面の大きな活動は5月3~5日、大阪市北区の中之島公園一帯である「第50回中之島まつり」での「5050(ゴーゴー)冒険スタンプラリー」の開催。SDGs(持続可能な開発目標)に関連したクイズを50カ所に用意しており、子供たちに楽しみながら身近な社会問題などを学んでもらえるものです。机に座って学ぶのは苦痛でも、ここでは楽しんで学べるので、ぜひ多くの人に来てほしいです。
「オモロイ」というと「お笑い」と捉えられがちですが、驚きだったり、発見だったり、心が動いたことが「オモロイ」こと。いろいろな問題を私たちのアートで解決できると思っています。
◇一般社団法人嗚呼A-yan!!日本をアートで盛り上げる団◇
2005年2月に「A-yan!!関西をアートで盛り上げる会」として活動を始め、数回の名称変更を経て19年5月に現名称で一般社団法人となった。所属アーティストは12人、登録メンバーは約50人。「制作部」「撮影部」「演劇部」「運動部」「音楽部」がある。
事務局所在地は大阪市生野区生野東3。連絡・問い合わせはメールアドレス([email protected])。詳細はホームページ(https://a-yan4649.com/)参照。