小樽で歓迎の声…歴史的建物「銀鱗荘」で竜王戦第4局
「銀鱗荘」は、小樽港東端の平磯岬の高台に立つ老舗料亭・温泉旅館。似鳥靖季(はるき)総支配人(54)は「銀鱗荘は小樽の歴史の一部。これをきっかけに当館を知ってもらい、小樽全体が活気づいてくれればうれしい」と期待を寄せる。
銀鱗荘の旧本館は、ニシン漁で財を成した大網元、猪俣安之丞が1873年(明治6年)、余市町に建てた邸宅が前身。1900年、大規模改修が完了し、38年、現在地に移築され、翌年、旅館として開業した。
ニシンの群れを見張るための望楼のほか、75畳もの大広間や神棚、囲炉裏などを備えた豪壮な「ニシン御殿」の建築は、往時の繁栄を今に伝える。今年2月には、隣接するレストラン「グリル銀鱗荘」の建物とともに、国の登録有形文化財となり、昨年公開された映画「天間荘の三姉妹」のロケも行われた。
銀鱗荘は家具製造販売大手「ニトリ」が2018年に取得、子会社の「ニトリパブリック」が運営する。ニトリは第36期竜王戦の協賛社にも名を連ねた。
対局室として検討されている、5階建ての新館最上階の特別和洋室「鶴」からは、石狩湾や小樽の中心市街地が一望できる。似鳥総支配人は「この歴史的な建物で、新しい世代の藤井竜王が対局するのは面白い取り合わせになる。対戦の合間に、眺望も楽しんでもらいたいですね」と語った。
小樽商工会議所の中野豊会頭も「歴史と文化が息づく小樽にとって、将棋文化の醸成・発展と観光によるまちづくりの融合が期待できる絶好の機会」と評価。日本将棋連盟北海道支部連合会の山下弘人会長は「藤井竜王らを迎えて将棋界で最も重みのあるタイトル戦を小樽で開催できれば、地元ファンはドキドキ、ワクワクした気持ちになる。コロナ禍で冷めかけた将棋熱に再び火がつくきっかけになれば」と胸を躍らせた。