【大人の習い事体験記】東京から奈良へ。お稽古は非日常への入り口
「奈良までお稽古に通うのって大変じゃない?」
よくそんな質問をいただきます。たいてい1泊か2泊の奈良滞在。仕事の調整をしなければいけないという意味では、出発前はばたばたで確かに大変かも。でも、東京を脱出して未知の世界に逃避できるお稽古は、私にとっては、とても魅力的な時間です。
お家元が情熱をもって、3時間から4時間近くもの時間をかけて教えてくださるお稽古。その内容は、お点前、活け花、盛り物、掛け軸の観賞、そして煎茶道の楚となる文人の思想や哲学まで多岐に渡ります。日によって、そこにお香や、骨董、茶道具の話も加わり、楽しい時間はあっという間に過ぎていきます。また、運良くお稽古日の前後でお家元主宰の水墨画教室が開催されていれば、そちらにも参加させていただいたり。まさに、どっぷりとお茶と芸術の世界にひたれる滞在となります。
活け花は、お家元の山居や、美風流本部のテラスガーデンに咲く季節の花を用い、文人花の思想を教えていただきます。初めて知ったのは、花と、その花入れにも「格」があるのだということ。青銅器や金属器、磁器、陶器のほうが、木や竹などの天然素材よりも一般的には「格」が高いとされているのだとか。お花でいえば、よく見慣れた椿や梅は「格」の高いお花なのだそう。それにしても、着物の着こなししかり、この「格」という単語は入門してからよく耳にするようになりました。しかしながら、その定義はいまだによくわからず。まだ学びの途中というか、入り口にもたどり着いていないかも。