私大ガバナンス強化へ改正法案閣議決定 評議員会権限強化
現行では学校法人の合併・解散、予算、決算などの重要事項の決定に理事会のみが議決権を持つが、改正案では合併や解散などについて評議員会の決議を義務付け、理事会へのチェック機能を高める。これまで理事会の意向が強く働いてきた理事の選任・解任でも、評議員会の権限を強化。役員選考会議など各法人に設けられた選任機関が理事を選ぶ際には、評議員会からの意見聴取を義務付ける。不祥事があっても理事が辞めない場合を想定し、評議員会に解任請求権を与える。
現行制度で認められている理事と評議員の兼務は禁止する。また、不祥事防止に向けて、理事らによる背任行為や目的外の投機取引、贈収賄、不正な認可取得への罰則を新設する。
私立大のガバナンスを巡っては、国内屈指の規模を誇る日本大の元理事長らによる刑事事件などを受けてクローズアップされ、強化の方向性が注目された一方、議論には紆余(うよ)曲折があった。令和3年には文部科学省の有識者会議が評議員会を最高監督・議決機関に格上げし、理事の選任・解任権などの付与を軸とする改革案をまとめたが、私学団体側が猛反発。文科省が別の検討組織を立ち上げて議論を仕切り直し、昨年、評議員会の格上げを見送る方向性を打ち出した。