「イサム・ノグチ作品に酷似」指摘 群馬県庁前モニュメント、撤去へ
県によると、モニュメントには、02~05年に計8500万円が投じられた。規模は南北51メートル、東西28メートル、高さ2・2メートルで、現在はコンクリートや御影石でできたほぼ基礎のみの状態で放置されている。
建設開始当初、完成予想図が札幌市にあるイサム・ノグチの作品「ブラック・スライド・マントラ」に酷似していると指摘した市民団体が建設中止を求めた。それでも県は建設を継続したが、00年以降に県内で生まれた子ども全員の名前を刻む当初の予定は個人情報保護の観点から実現しなかった。また、07年に知事が交代したことも重なり、計画は宙に浮いた。県の担当者は建設中止の理由について、「今となってははっきりしないが、複合的な要因ではないか」と話している。
モニュメントの正面には、県庁の表玄関を象徴する「群馬県庁」の銘板が刻まれている。県は9月補正予算案に、12月までにモニュメントを撤去し、来年3月までに芝生の整備と新たな銘板の設置をする費用として4400万円を盛り込んだ。御影石などは撤去時に破損するため再利用はできず、廃棄するという。
山本一太知事は1日の記者会見で、「県庁周辺をもっと人が集まる場所にしたい。そのためにモニュメントを撤去し、新たな活用策を考えたい」と語った。【田所柳子】