そばも料理もミシュラン仕込み! 〈浅草 ひら山〉|寺尾妙子のNEWSなレストラン
手作り、そしてオリジナリティへのこだわりから、メニューも独特。「板わさ」や「車海老の天ぷら」といったそば店定番ではない。海老の天ぷらも、車海老より少数派の白海老を使用し、白海老ならではの上品な味わいに、スダチを添えて。しっとり仕上げた鴨ロースはスライスするだけではなく、花山葵と合えるなど、さりげなく捻りを効かせているのだ。
通年メニューに加え、季節感溢れる一品もぜひ。春先はほろ苦いふきのとうの天ぷら、ミソをたたえたヤリイカと菜の花のぬた和えのほか、山菜のこごみを使った白和えの衣は酒粕入り。日本酒との相性も抜群の品々が揃っている。
“そば前” を存分に堪能したら〆はいよいよ、そばだ。
「麺もつゆも修業先である〈ほそ川〉で習ったことをベースに、自分らしさも加えています。麺は茹で上がりのもっちり感を出すために、粘りのある生地が理想。福井や群馬、北海道からそばを取り寄せ、毎日、朝と夕方、打つ直前に石臼で挽いています」(平山)。
9割のゲストが注文する「せいろ」は細めで、確かにもっちり! 心地よく喉を通り抜けると同時に、爽やかなそばの風味が口いっぱいに広がる。干し椎茸入りのつゆは、キリッとドライな印象だ。ほか、なめらかでプルンプルンの「そばがき」や温かな種ものも実に魅力的だ。
今後はコース料理の提供も予定しているという。日本料理の高級店で修業した料理人が次々、高額コースの店を出店するなか、カジュアルにそのエッセンスに触れられる一軒は希少。予約困難になる前に、席を確保するのがおすすめだ。