「日本最古の星空」守る職人技 1960年から稼働のプラネタリウム、オーバーホールで技師が来日 兵庫・明石
今秋、明石市立天文科学館(兵庫県明石市人丸町)でプラネタリウム投影機の分解整備(オーバーホール)が12年ぶりに行われた。旧東ドイツのカールツァイス・イエナ社製で、1960年から稼働している。現役機器では日本最古で、世界でも屈指の投影歴を誇る。
作業は約1カ月間。カールツァイス社の技師、ハンス・コッペンさん(71)とハンス・ウィランドさん(63)が担当した。「半世紀以上稼働しているが、状態は非常に良好」と声をそろえる。コッペンさんは「デジタル機器が主流の時代には珍しいシンプルなつくり。きちんと整備すればまだまだ長く使っていけるよ」と話す。
分解された数百点の部品の一つ一つに、指先の感触を確かめながら鋭い視線を送る。部品を取り付けた後は投影具合を点検。数ミリ単位でも装着がずれるとうまく映らないため、工具を手に調整を繰り返す。
「明石の投影機はアナログならではの温かみが感じ取れ、自然に近い星空を再現できる」とウィランドさん。「これからも数十年、多くの人に星の魅力を身近に感じてほしいね」。
オーバーホールはほぼ完了しており、25日からプラネタリウム上映を再開する。(坂井萌香)