「東アジアの英雄」鄭成功の評伝漫画、長崎・佐々町の37歳が自費出版
中村さんは佐世保市出身。小学6年の頃に不登校となり、10代から「生粋の引きこもり」を自認して過ごした。東日本大震災後、現地における自身のボランティア体験をまとめ、2018年に自費出版した「おーい中村くん~ひきこもりのボランティア体験記~」が日本自費出版文化賞の特別賞に選ばれるなど反響を呼び、少年時代から抱いていた創作の喜びに火が付いた。
その頃、平戸の鄭成功記念館を訪れた母親の土産話を聞き、文章以上に得意な漫画による表現で、県北ゆかりの人物を描こうと決意。史料を読み込み、鄭成功が生まれた平戸市川内町を探訪するなどして構想を練り、約20ページずつ投稿サイトに発表した自作を6月末、出版にこぎ着けた。B5判174ページで50部を発行。
アクション漫画志向の腕前を生かした、オランダ艦隊や清軍との激しい戦闘場面は圧巻。要所で敵味方の艦隊の配置図や歴史年表を入れ込み、読者の想像を補っている。援軍として多くの日本人も参戦したとされ、作品中には県北の方言が垣間見えたり、幼時の鄭成功が平戸の霊峰、安満岳に登る一コマがあったりして、読む人の心を和ませる。
「鄭成功の台湾などでのヒーローぶりに比べ、日本での知名度が高くない現状を変えられれば。そのためにも平戸での幼少年時代にスポットを当てた次巻の発行を目指す」と中村さん。創作を通してますます鄭成功の勇猛果敢な人生に触発されたらしく、「川内町の生誕祭も見学して、台湾からの参加者の熱狂ぶりに触れつつ、今後のストーリーづくりの参考にしたい」と意欲を語った。
同作は非売品だが、希望者には1冊千円(送料別)で配布する。問い合わせ=[email protected]