ユニークすぎる京都の芸術祭、今年は「嗅覚」使った没入型も
2022年のKEXは、パンデミックのためにフィジカルな表現が長らく制限された反動か、血まみれのダンサーが踊り狂ったり、大音量のノイズサウンドに合わせて映像を流したり、過激な作品が多かった。今年は「まぜまぜ」というテーマで、言語や国籍、時間や空間などを混濁させ、多様性の未来を考えさせるような作品がそろっている。
2023年の上演プログラムは11作品。そのなかでも、「嗅覚」に訴える山内祥太&マキ・ウエダによる没入型パフォーマンス『汗と油のチーズのように酸っぱいジュース』(10月7~9日)や、関西ダンス界に伝わる数々の伝説をベースにした作品を野外で約1週間上演する中間アヤカ『踊場伝説』(10月9~15日)あたりは、演劇やダンスに馴染みが薄い人も比較的入りやすいだろう。
「京都は非常に伝統がある一方で、イノベーティブなものを受け入れる懐の深さもあり、実験的で過激な表現も受け入れていただける街。首都ではない、地方都市だからこそできる演劇祭だと思います」とは、ディレクターのひとりである川崎陽子さん。期間中は、いろんな方向から「まぜまぜ」を体感したり、学術的なレクチャーやフィールドワークも多数開催されるので、そちらも要チェックだ。
会場は「ロームシアター京都」(京都市左京区)をはじめとする、京都市内各所。チケットは公演により一般2000円~5000円で、各種割引もあるので公式サイトでご確認を。チケットは8月4日発売。
取材・文/吉永美和子