未完譜に映画「ゴジラ」の音列 若き日の伊福部さん作曲
藍川さんは「伊福部音楽の原点に触れる大きな発見」と語る。
楽譜のタイトルは「平安朝の秋に寄する三つの詩」。伊福部さんが日本の音楽の伝統的な手法を生かし、小野小町らの和歌に曲を付けた。藍川さんが全90小節を校訂し、音符や歌詞の欠落や書き間違いを修正したところ、ゴジラの曲に登場する「ラシド」が47回、「ドシラ」が30回、循環するように配置されていた。
楽譜は、独学で作曲を学び、旧北海道帝国大生だった伊福部さんが1933年、札幌を訪れていた声楽家の荻野綾子さんに献呈するために慌てて書いたとみられる。2007年に東京芸術大付属図書館で見つかった。