新大久保の高架下「天使」の巨大壁画制作 多国籍・多様性の象徴「明るい光を」
新大久保駅高架下に描かれている壁画は2面あり、大きさはそれぞれ縦3メートル、横33メートル。最初に描かれたのは平成10年で、その後1度書き直され、壁画制作は今回で3回目になる。画家の高岡洋介さんと横島基尚さんがデザインした。
民族の壁を越えて安心安全に暮らすことのできる「天使のすむまち」を掲げる新大久保。そのきっかけは24年前の最初の壁画制作だった。
最初の制作が始まる少し前、知人の姉が病気になり、高岡さんは勇気づけるために絵を描いて贈った。知人はその絵を気に入り、当時手がけていた新大久保活性化プロジェクトの一環だった壁画制作への参加を高岡さんに打診した。
ほかの候補作品とともにオーディションが開かれ、絵の説明を求められた高岡さんはとっさに「天使です」と答えた。絵は子供たちに気に入られ、オーディションに合格。新大久保駅高架下の壁面に高岡さんの天使の絵が大きく描かれた。
「当時の新大久保は暗くて治安の悪いイメージがあった。なぜそこに天使なんだろうと思う人もいたと思う」と高岡さん。その後、日韓ワールドカップや韓流ブームの到来で町のイメージは一新し、天使はさまざまな国籍の人が集い多様性に富む町の象徴になった。
「新大久保商店街振興組合」事務局長の武田一義さんは「ウクライナ情勢など世界が混沌(こんとん)としている今だからこそ多文化の町、新大久保で、天使のように少しでも明るい光を照らすことができれば」と願いを込める。
壁画は今月15日から制作を開始し、随時ボランティアを募集している。初日は10人ほどが参加し、壁画に色を塗るなどした。高岡さんは誰でも参加できるよう画用紙で作った型紙を準備。「新大久保は本当に楽しい町。こんなに大きな絵を描く機会もなかなかないのでぜひボランティアに来てください」と呼びかけている。
ボランティアは6月4日まで募集していて、作業時間は午後10時~午前4時半。未経験者や短時間の参加も可能だ。汚れてもいい服装で来てほしいとしている。参加者には記念品を贈呈予定。問い合わせは新大久保壁画制作実行委員会(s-hanko@hb.tp1.jp)まで。(大渡美咲)