日本音コン ピアノ部門1位、小嶋早恵さん「曲の意味、追究したい」
◇小嶋早恵さん、喜びの声
大学生の時に3度挑んだが、第2予選、第3予選止まりだった。「苦しくなったこともあったが、悔いのないよう最後にしよう」とやるべきことをやって挑んだ。発表の瞬間、「自分の人生にこんなことがあるとは思わなかった」と喜んだのもつかの間、「隣の誰かよりうまく弾くことはあまり意味がない」とも感じた。うまくなることだけでなく「ピアノを通じて人とかかわる社会経験、いい時もしんどい時も含めた感情の幅」を大事にしてきた。5歳で始めたピアノをなぜ続けてこられたのか。「人を魅了していくことも大切だが、時代や文化を含めその曲の一番美しい状態、曲の真の意味を追究していきたいから」
「今までのことを認めてもらえてうれしいが、今日までのこと。これから(ピアノで)やることに、変わりはない」とクールに前を向く。海外に留学し、文化を知り、経験を重ねて、と演奏活動を見据える。ただ、今もこれからも「弾き終わったときに何を残せるか、どんな経験、どんな気持ちになれるかを大切にしていく。ピアノを通じて成長し、より良く生きていきたい」。骨太のピアニストが大きな一歩を踏み出した。