『岸田首相、文大統領突き放し…韓国経済“絶望” 日韓電話首脳会談、関係修復は望み薄 火が付く通貨・株「売り」 識者「経済協力のメリットないに等しい」』への皆さん
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15日の電話首脳会談で岸田首相は文氏にいわゆる徴用工判決や慰安婦に関する日韓合意違反などを国際法違反だとし、韓国側に対応を求めた。すでに日韓間で決着済みの問題で、ボールは韓国側にあるが、文氏は「両国間の外交的な解決を模索するのが望ましい」と主張した。
岸田政権が発足した4日に文氏は書簡を送り、「両国が民主主義と市場経済という基本の価値を共有」すると強調した。日頃の「反日」を忘れ、経済面での協力を求めるような内容だった。
岸田首相は米国やオーストラリア、インド、中国、ロシアなどとの電話首脳会談を優先させ、韓国メディアは「韓国飛ばし」といらだちを隠さなかった。
愛知淑徳大ビジネス学部の真田幸光教授は「韓国には、日本とのスワップ(通貨交換)協定再開をはじめ経済的な協力をしたいという下心がうかがえるが、日本にとって韓国と経済協力をするメリットはないに等しい。岸田政権は大人の対応をすればよいだけ。“丁寧な無視”が現状では最善の外交姿勢であろう」と指摘する。
韓国の頼みの綱はパイプとなる議員だが、日韓議員連盟の重鎮、河村建夫元官房長官は次の衆院選に出馬せず、政界を引退する。東京五輪での文氏訪日に意欲をみせ、韓日議員連盟の幹部と会談していた二階俊博前幹事長も党4役から離れた。
ジャーナリストの室谷克実氏は「元々、安倍晋三、菅義偉両政権が韓国に厳しい立場だったため、パイプはそれほど機能していなかったが、河村氏が引退し、二階氏が幹事長から離れたことで韓国はより厳しい状況に陥った」と指摘する。
韓国経済は緊迫している。12日の外為市場でウォンが一時、1ドル=1200ウォン台を突破する場面があった。1200ウォン台は韓国経済の「危険水域」とされる。韓国総合株価指数も3000を割り込む場面があった。
韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁はウォン安について「必要なら市場の安定を図る計画だ」と追加利上げも示唆するが簡単ではない。
前出の真田氏は「家計債務が膨れ、借り入れをしてまで投機している国民が多く、金利が上がれば逆ザヤになる可能性もある。韓銀は、ウォン安を回避し米ドル建て債務の返済不能(デフォルト)を防ぐには利上げ、金利上昇による国内金融市場の混乱を回避するには金利据え置きというジレンマを抱え、為替と国内金融市場のどちらを守るのか選択を迫られている。自国だけでは為替を防衛できないため、韓銀は為替を守る方が最重要と考えているはずだ」とみる。
中国への依存度が高い韓国経済は、中国不動産大手「中国恒大集団」による過剰債務問題や、中国国内で発生している電力不足問題の打撃を受けやすい。ドル建て債務も多いため、近く開始される米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和縮小(テーパリング)の影響も避けられない。
すでに韓国市場に対する懸念は外国人投資家の間で高まっているとみられ、13日の朝鮮日報は、サムスン電子の売りをはじめ、外国人投資家の売り攻勢が過去最高だった2008年よりも強まっていると伝えた。
真田氏は「1ドル=1200ウォンの水準は危険水域といわれるが、現状はじわじわとウォン安になっているため韓銀がまだ、対応できる範囲内だろう。ただ、米中がそれぞれ抱える問題が今後顕在化してくれば、市場が自由化されているタイバーツに連鎖するかたちで、タイバーツとともに一気にウォンが売られることも想定される」との見通しを示す。
任期が残り少ない文政権に打つ手はあるのか。