世界最古で超美品の「ヘブライ語聖書」はいくらで落札されたのか?
有力なサスーン家の一員だった収集家のデイビッド・ソロモン・サスーン(1880-1942)がかつて所有していたことから、サスーン写本と呼ばれるようになった。ヘブライ語聖書の全24書が入っているが、「創世記」の数ページが欠落している。イスラエルまたはシリアで製本されたと考えられており、羊皮紙で396ページある。
製本されたのが紀元900年頃にまでさかのぼるほど古く、またほぼ完全な状態であることから、写本に適正価格を付けるのは難しかった。
サザビーズによれば、比較できる文書といえば、レオナルド・ダ・ヴィンチの手書き文書「レスター手稿」(ビル・ゲイツが1994年に3800万ドルで購入)と米国憲法の初版原本(ケン・グリフィンが2021年に4320万ドルで購入)くらいだという。
5月18日の競売会当日、会場は見物客たちで賑わっていた。
競売人が3200万ドル(約44億円)から入札を開始し、電話参加とおぼしき入札者2名が50万ドル(7000万円弱)ずつ入札額を増やし、サスーン写本は、3350万ドル(※)で落札された(モーゼズがその入札者のひとりだったが、つまり彼は事前に合意した総額を超えて競り合い続けたということだ)。
写本の競売は5分もしないうちに完了した。
※註:最終的な落札価格は3810万ドルと記事の冒頭でも報じられているが、これには買い取り手数料なども上乗せされているようだ。