『社説:皇位継承策 国民的議論を深める時だ』への皆さんの反応まとめ
現在、皇族数は17人。このうち未婚女性は愛子さまを含め5人で、一般男性と結婚すれば皇室を離れることになる。
残り12人では、皇位継承資格を持つ秋篠宮悠仁さま(15)を除く11人が50代以上だ。皇室の先細りを心配する声は根強い。
安定的な皇位継承を議論する政府の有識者会議は今月上旬、「女性皇族が結婚後も皇族の身分を維持する」「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系男子を皇族とする」の2案を軸とする報告書の骨子案を承認した。
皇族数の確保に向けた独自策を示した形だ。だが、2案は議論の本筋である皇位継承策に直接つながるとはいえない。
会議は7月の中間報告で、皇位継承策は「将来判断すべき」と結論を先送りする方針を示している。女性・女系天皇の是非など踏み込んだ論議を避けたい姿勢がにじむ。
皇位継承策について「速やかな検討」を政府に求めた退位特例法の付帯決議からすでに4年半が経過している。国民的な議論を深め、現実的な方策を見いだす時期にきている。
2案には、憲法などに抵触する課題が指摘されている。
会議は、結婚した女性皇族が皇籍を維持する場合、配偶者や子どもは皇族としない方向で意見集約するという。仮にそうなれば、基本的人権に一定の制約があるとされる女性皇族と、権利・自由の制限が及ばない配偶者や子どもが、一つの家庭に混在することになる。
男性皇族と結婚した女性は皇族となる一方で、女性皇族と結婚した男性が皇族にならないことへの違和感も拭えない。女性皇族に皇室に残ることを強いる仕組みになる懸念もある。
養子縁組には、さらに問題がある。戦後に皇籍を離脱した旧宮家(旧皇族)の子孫を皇族とするのは、門地(家柄)による差別を禁じた憲法に違反する可能性があるという。
皇統に属すると言っても、旧宮家は約600年前に天皇家と分かれており、縁は遠い。政府は、男子子孫の人数や皇族になる意思確認すらしていないとしている。制度をつくる前提が欠けていると言わざるを得ない。
2案による皇族数確保策の実現性には疑問符が付く。その先にある皇位継承策に議論をつなげることができるのか。
皇位継承と皇族数確保に有効な策が出なければ、皇室の将来を悠仁さま1人に担わせることにもなりかねない。
問題の根源は、父方が天皇の血筋を引く「男系男子」による継承にある。この原則を堅持する限り、皇位継承の選択肢は狭められたままになる。
共同通信が今年春に行った世論調査では、女性、女系天皇への賛成(どちらかといえばを含む)は、ともに8割を超えた。
憲法は皇位が世襲されることを規定するが、同時に法の下の平等も定めている。男女同権を支持する世論も踏まえ、議論を具体的に前に進めることが求められている。